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「役割分担」という言葉で逃げてませんか?(人材育成論から考える)

新年度が始まって早いものでもうすく2ヶ月。
飲食業に関わらず、様々な業種で新しい人材を迎え入れ、新しいチームの育成に苦心されているのではないでしょうか。
今回は人材やチームの育成について「役割分担」という言葉の落とし穴を文章化してみようかと思います。

 

今回は人材育成の面からみる「役割分担」をテーマにしてみます。

今回の言いたい事を先に言うと

人を教える(育てる)という仕事を「役割分担」という言葉で逃げてませんか?

と問題提起してみたいのです。

これは、その組織だったり、チームが長年そうしてきた…いわゆる「文化」が悪いのであって、一個人が責められる問題ではないのですが、それを別にしても「役割分担」という言葉で上手く逃げている人達をよく見かけます。

私の組織内での育成理論の考え方の一つは
「育てたい人材に一番距離が近い人材が最も影響力のある教育者」です。
(これについての詳しい事はまた別に記事を作成したいと思います。)
その考えから言わせてもらえれば育成に影響力があるのは、特定の人間ではなく同じような仕事をしている人全員が育成に影響力を与えていると思います。

 

つまり、一人の人間の教え方も重要ではありますが、それ以前に周りのサポートも含めて「育成」というものを考えなければなりません。


よく「教育係」という名目で特定の個人を指名してその人に教育(育成)を任せる事があります。これ自体は教えられる方も「この人に聞けばよい」というのがはっきりするので理解ができます。

問題はこの「教育係」以外の人達の関わり方。
「私は教育係じゃないから関係ない」と全く育成には関わらず、自分の役割を淡々とこなしている人をよく見かけます。
「教えている人の邪魔をしたくないから」という声も聞こえてきそうですが、育成への関わり方は何も教える事だけではありません。「教育係」と言われる人にも普通に自分の仕事があります。その人が教育に時間を掛けている間に滞る仕事をフォローしてあげるのも立派な育成への貢献です。また、教えている人が目が届かない所で教えられる側が困っていたり、間違った事をしようとしていたりする時は、そっと声をかけてあげるのもとても大切な事です。

これは日本特有の文化だからそうなのか「係」を決めると他の人は全て丸投げの状態の組織が多いように見えます。だから「教育係」になった人は、自分の仕事もこなしつつ、新人の教育、仕事のフォローを全て一人でやらなくてはいけません。それはとても労力を使う事なのは経験されている方なら想像がつくと思います。だからみんな「教育係」なんてやりたくない。やりたくない仕事だから、自分がその係じゃなかったら、絶対に関わりたくない…という負の連鎖に陥ってしまうのではないでしょうか。

「人を育てる」という仕事はとても大変ですが、とても大切な仕事です。
だからこそ、一人の人間だけに任せるのではなく、その人を中心に組織の全員が「人材育成」に関わっていくべきだと思います。

「役割分担」は作業を「手分け」して行う事で「丸投げ」するという意味ではありません。
どうか、間違った解釈で「役割分担」というものを捉えないでください。
その間違った捉え方のせいで「教育係」を任せられた人は苦しい思いをしている可能性があります。

もしあなたが今「教育係」ではないのなら、

「自分は今どういう形で組織の人材育成に関わっているのか」
「どういう形でなら自分は人材育成に関わっていけるのか」

をこの記事を読んだ機会に見つめなおしていただけると私としてはとても嬉しいです。