飲食サービスマンの頭の中

ゲストとスタッフの満足度を高めるために日々模索中

「笑顔」=「みんながみんなに気配りしている環境」

私は新人サービススタッフがゲストに出来る効果的なサービスとは、「笑顔でいること」だと思います。

もちろん、ゲストに余計な迷惑をかけないために、技術面や知識面で出来ていなければならないことは存在するのですが、それよりも優先されることはゲストに接している間、笑顔でいることだと思います。

ただ、この「新人スタッフが笑顔を保てる環境」って凄く難易度が高い環境なんですよね。

先輩スタッフは、常に新人スタッフを気にかけてあげて、事あるごとに声をかけてあげる。
不安にならないように、一歩先を見た指示を出す。わからない状況に陥ったらすぐにフォローに入ってあげる…など。

「いや、そこまでする必要あります?」って言いたくなるくらい、周りが気を使う必要があります。

でも、私には持論があって、

「一緒に働くスタッフに気を配れない人間がゲストにちゃんとした気配りが出来るはずがない」

と思っています。と同時にそれだけスタッフ同士が気を配り合ってる現場が良いサービスをしていないわけがないとも思います。

実は、新人スタッフの定着率が悪い店舗ほど、1日目から理論を詰め込もうとして説教か?と思うくらいにあれやこれやと詰め込もうとしている事が多い。

まだ、慣れてない環境で緊張しまくっている人に知識を詰め込もうとしても、緊張してるからほぼ頭の中には入らないんですよね。

だから、最低限のゲストに迷惑がかからない行為をさけながら、ゲストに接するときは「絶対笑顔」

その他の動き方や対応の仕方については、周りが動かしてあげてフォローする。

周りの先輩たちの気配りを受けながら、新人スタッフは仕事の楽しい部分から入ることができるから、おもしろくなって、また次の日もがんばろうとなる。新人スタッフが笑顔で出勤してくれたら、先輩スタッフ達もうれしくなって、もっと気を配ってやろうとなる。そうしたらその延長に「もっといろいろ教えてあげよう」という「教育」というものがついてくるのではないかと私は思います。

接客業は笑顔が命。
それを1日目の新人スタッフでも出来る環境。
その環境はみんなが気を配り合っている環境。


そんな環境こそが「良い接客サービス」の土台として必要だと私は常々思い、日々、周りのスタッフと気を配り合いながら仕事をしています。

「役割分担」という言葉で逃げてませんか?(人材育成論から考える)

新年度が始まって早いものでもうすく2ヶ月。
飲食業に関わらず、様々な業種で新しい人材を迎え入れ、新しいチームの育成に苦心されているのではないでしょうか。
今回は人材やチームの育成について「役割分担」という言葉の落とし穴を文章化してみようかと思います。

 

今回は人材育成の面からみる「役割分担」をテーマにしてみます。

今回の言いたい事を先に言うと

人を教える(育てる)という仕事を「役割分担」という言葉で逃げてませんか?

と問題提起してみたいのです。

これは、その組織だったり、チームが長年そうしてきた…いわゆる「文化」が悪いのであって、一個人が責められる問題ではないのですが、それを別にしても「役割分担」という言葉で上手く逃げている人達をよく見かけます。

私の組織内での育成理論の考え方の一つは
「育てたい人材に一番距離が近い人材が最も影響力のある教育者」です。
(これについての詳しい事はまた別に記事を作成したいと思います。)
その考えから言わせてもらえれば育成に影響力があるのは、特定の人間ではなく同じような仕事をしている人全員が育成に影響力を与えていると思います。

 

つまり、一人の人間の教え方も重要ではありますが、それ以前に周りのサポートも含めて「育成」というものを考えなければなりません。


よく「教育係」という名目で特定の個人を指名してその人に教育(育成)を任せる事があります。これ自体は教えられる方も「この人に聞けばよい」というのがはっきりするので理解ができます。

問題はこの「教育係」以外の人達の関わり方。
「私は教育係じゃないから関係ない」と全く育成には関わらず、自分の役割を淡々とこなしている人をよく見かけます。
「教えている人の邪魔をしたくないから」という声も聞こえてきそうですが、育成への関わり方は何も教える事だけではありません。「教育係」と言われる人にも普通に自分の仕事があります。その人が教育に時間を掛けている間に滞る仕事をフォローしてあげるのも立派な育成への貢献です。また、教えている人が目が届かない所で教えられる側が困っていたり、間違った事をしようとしていたりする時は、そっと声をかけてあげるのもとても大切な事です。

これは日本特有の文化だからそうなのか「係」を決めると他の人は全て丸投げの状態の組織が多いように見えます。だから「教育係」になった人は、自分の仕事もこなしつつ、新人の教育、仕事のフォローを全て一人でやらなくてはいけません。それはとても労力を使う事なのは経験されている方なら想像がつくと思います。だからみんな「教育係」なんてやりたくない。やりたくない仕事だから、自分がその係じゃなかったら、絶対に関わりたくない…という負の連鎖に陥ってしまうのではないでしょうか。

「人を育てる」という仕事はとても大変ですが、とても大切な仕事です。
だからこそ、一人の人間だけに任せるのではなく、その人を中心に組織の全員が「人材育成」に関わっていくべきだと思います。

「役割分担」は作業を「手分け」して行う事で「丸投げ」するという意味ではありません。
どうか、間違った解釈で「役割分担」というものを捉えないでください。
その間違った捉え方のせいで「教育係」を任せられた人は苦しい思いをしている可能性があります。

もしあなたが今「教育係」ではないのなら、

「自分は今どういう形で組織の人材育成に関わっているのか」
「どういう形でなら自分は人材育成に関わっていけるのか」

をこの記事を読んだ機会に見つめなおしていただけると私としてはとても嬉しいです。

『ジャイアントキリング』の流儀に学ぶ

本屋でブラブラしながらいろんな本を探すのが好きなのですが、

ある日ふと、「チーム作り」に関する本ってどんなものがあるのだろうと気になり、

そんな本がありそうなコーナーを探してみました。

 

そもそも、チーム作りについては、仕事上欠かせない仕事でしたし、良いチームを

作る為のいろんなアイデアを考えるのは、楽しくて好きなのですが、そういった事に

ついて書かれた本を読むという事はしたことがありませんでした。

 

そんな興味本位から探し始めた本の中でこんな本を見つけました。

 

 

 

  仲山進也著

 

思わず、ジャケ買いしてしまいました(笑)理由は2つ。

一つ目は、私はサッカーが大好きで(戦術などは語れません)「ジャイアントキリング」も大好きで全巻手元に持っているほどです。この本は、そのジャイキリをモデルケースにして書かれた本なので、理解もしやすいだろうと思った事。

二つ目は、タイトル。「今いるメンバーで~」というタイトルがとても私には気に入りました。私の勝手なイメージですが、チーム作りの本は「こんな人材を見つけてチームに組み込む」といった内容が多い気がしていました。そんな事が出来れば苦労はしないよ、と思ってそういった本を読まなかったのですが、この本は環境作りと働きかけで

今いるメンバーで強いチームを作っていくという内容になっているので、私の独自の

チーム育成論にも合っていたので、この本を購入しました。

 

実はすでに一回読み終わり、二周目に入っています。このブログでは、

私の理論(という名の考え方)をまとめていこうと思っているので、また組織論を

書き始めた時に、この本の内容も取り入れた上で書いていこうと思っています。

 

とても面白い本で読みやすいので、特にジャイキリがお好きな方はぜひ読んでみてください!

「変えていく」ために必要な事

長年、同じ業界で働いていれば、周りの人達もどんどん人をまとめる立場の方々が多くなるもの。
飲食サービス業でよく聞くのは、アルバイトの育成やオペレーションの話。でも今回は実際の育成法、オペレーションうんぬんの話ではなく、それ以前の話をしてみようと思います。

上の立場になっていくと、やはりそれなりの理想や野望があって、その理想に向けて、オペレーションや人材の育成プランを変えていきたくなるものです。特に接客業はマニュアル化が上手く進んでいない所が多い(気がする)ので、同じような立場の方にお会いするとどうしてもそういった情報を聞きたくなって、感銘を受けたものはすぐに取り入れたくなってしまいます。

しかし、規模は違えど「組織を変えていく」のはとても難しい事だと思います。

私が今回一番書きたかったのは「その改革を部下達も望んでいるのか」という事です。

これは私自身の失敗談も含んでいるのですが、「今までのやり方を変えたい!」と意気込んでいる人は、意外に独りよがりになっている事が多いのではないかと最近思います。独りよがりになって失敗するパターンが多いからこそ、変革に成功した人は英雄のように扱われるのではないでしょうか。

改革が独りよがりになる一番の原因として考えられるのが「部下がそれを望んでいない」ではないのかなと思います。人は、環境をいたずらに変える事を嫌います。ましてや現環境に危機感や不安を感じていなければ余計にその必要性を感じません。立場による視点の違いは、改革の有無の判断にも差を生むものだと思います。

その為、いくら上の立場の人達が改革を声高々と叫んだとしても、現場の人達がその改革の必要性や重要性を理解できず、それを望まなければ、その改革は結局一時的なものになってしまいます。

その解決法は簡単かつ根気がいるものですが、やはり実際に現場で改革を進めていく部下達にしっかりと自分の改革の意義を伝え、理解してもらう事でしょう。

なぜ今改革が必要なのか、それを実行する事でどういった変化が起こるのか、どういった手順で進めていくのか、といった事をしっかりと理解してもらい、部下達の変化への不安もしっかりと解消していきながら進めていく事が一番重要になってくると思います。

その現場にいる人達みんなが改革を求める、あるいは認めていないと、いくら革新的な改革でもただの独りよがりになってしまう。「根回しが大事」という事になるのでしょうか。

全ての「やる事」に意味を持たせる

「人に何かを伝える」というのは本当に難しいものです。

そんな中で、仕事のやり方や流れをマニュアル化して文字にしたり絵や映像にしたりして、なるべくわかりやすく説明しようとします。

 

私自身が誰かに指導という形で何か物事を伝える時に大事にしていることがあります。

それは「その行動にどんな意味があるかを説明できる事」です。

 

その行動をなぜやらなければいけないのか、またなぜやってはいけないのか。

何かの作業や流れを上手く部下に説明が出来ない人には、この部分が理解できていないように思います。

 

物事には必ず意味があります。というか、持たせなければならないと私は思っています。

接客サービスという観点から言えば、それをやってしまったら、お客様に不快感を与える、または危険にさらしてしまう。だからやってはいけないといった具合です。

正確に言うと、この行動をしてしまう事でこういった事態が起こり、それによりお客様を不快にさせてしまうからこの行動はやってはいけないんだよというところまで説明できなければ、その人自身が本当にその行動を理解している事にはならないと思います。

 

正確に理解できていない事を、相手になんとなくで伝えるので、相手がどこで「?」がついているかがわからなかったり、真の意味が理解できていないのでその行動が薄っぺらいものに見えてしまい、重要な事も重要に聞こえず、理解が薄くなってしまうのです。

 

「これは決まっている事だから」「マニュアルでこうやれとなっているから」「先輩がこれでやってたから」といった薄い理解で、代々入ってくる新しい人達に伝わっていく事で発案者が考えたそのとても重要な行動も意味のないただの作業へとなってしまいます。

 

その為、マニュアルの作成者や、指導の立場にある人達は、一番新しい人達にその行動の真の意味がしっかりと伝わっているのかを定期的に確認する必要があると思います。

そうしなければせっかく精魂込めて作られたマニュアルやそのお店や会社で受け継がれてきた素晴らしい行動が「ただの作業」へと変化してしまい、全くの意味をなさなくなってしまいます。

 

全てのやる事には意味があります。その意味の大事さをしっかりと伝えていける体制作りもマニュアルの中身以上に大切なものだと思います。

マニュアルをデジタル化する。

いろんな地域のいろんな場所で接客サービスを行ってきましたが、必ず問題というか

議題に上がるのが「サービスマニュアル」そして「研修」。

赴任した場所の数だけマニュアルを作ったんじゃないかと思うくらいマニュアルを

作ってきたように思います。

 

以前、大手スーパーの友人とマニュアルや研修についての話になった時に、

その会社ではほとんどのサービスマニュアルと研修内容をデジタル化しているという話

を聞くことが出来ました。

私がまだまだデジタル化が進んでいなかった時代の人間である事も関係あるかも

しれませんが、結構飲食サービスの現場では「マニュアルや研修が大事!」と言われる

割には、そういったデジタル化などの工夫が少ないように思います。

 

今の時代、だれでも動画が撮れるし、クラウドを使えば、誰でも何時でも情報に

アクセスが出来る時代。

「接客サービス」という文章化が難しいもの程、動きで見せる事は大事ですし、

所属している人達のレベルに合わせてマニュアルの内容も変えていく必要もあります。

また、サービスオペレーションもどんどん変化していくので、従業員やアルバイトが

どんな状況でもすぐにマニュアルにアクセス出来る環境を作るのは、サービス力を

向上させるには欠かせないのではないかなと思います。

 

だからと言って「マニュアルは動画で見といてね」で済ませてしまうと本末転倒。

最終的には何事もバランスが大事という話になってしまいますが、これだけ

便利なものがあるのならば、それを有効利用はしていかないといけないなと

友人の話を聞いていて考えていました。

 

一番大変なのは、どんな形であろうと、「マニュアルを作る」事自体が大変な事には

変わりないのですが…

 

 

 

お客様は「神様」ではない

今回は価値観のようなものに触れるお話。

「お客様は神様ではない」と思い知らされたのは、私が1年間ほど、外国人のお客様を

接客する機会があった時です。

欧米諸国の人達は、自己主張が激しくてわがままなんだろうな、と勝手な偏見があったのですが、実際に接客をしていくうちに、それは間違いだと気が付きました。

自分の思う事は言葉にして主張する。でも、相手の主張も聞く。


それがゲストとサービス提供者の間なら、提供者としては、ここまでのサービスをこの金額にしているという説明があり、それ以上のものを求めるのなら、ゲストは追加で料金を支払うか、別の場所にそのサービスを求めるしかない。

私の中ではこれを「等価交換のルール」と言っていますが、欧米社会にはそれがある。

つまり、ゲストと提供者は対等で金額によってその価値は判断される。
その金額で決められた価値以上のものを提供したいと思うのは、いわゆる「おもてなし」の心ですが、その心を勘違いしているお客様側が多い。

どちらが偉いの問題ではなく、どちらも対等なんです。

日本人の良さの面で言えば、お客様側にも提供者に対して配慮ができる。
お互いがプラスアルファの心を持って接していた時代があったから、日本には「おもてなし」という外国の方に接客の見本とされるような素晴らしい文化が生まれたように

思います。

ちなみに、「お客様は神様です」という言葉を生み出した三波春夫さんも、間違った意味で広まってしまったと苦心されていたようです。

三波春夫オフィシャルサイトより
「お客様は神様です」について